【2017.11.05】外国籍住民のための防災講座(行動体験型日本語学習)

今年度の外国籍住民向け防災講座は、KIFA日本語教室内で「行動体験型日本語学習(※)」として行いました。

外国籍住民のための防災講座

日 時:①10月22日(日)10:00~11:30(事前学習)
    ②11月 5日(日)10:00~13:00(行動体験・ふりかえり)

場 所:刈谷市国際プラザ

協 力:刈谷防災ボランティア

〈10月22日〉
 一日目の事前学習日には、台風が接近する悪天候にもかかわらず、23人の学習者が参加しました。
 まず初めに、災害に関する言葉について勉強しました。(例:地震、津波、危険、避難所、など)これらは学習者の日本語レベルに関わらず、危険から身を守るために、そのまま覚えておくとよい言葉です。
 次に、地震のイメージをつかむために、実際に起きた地震の映像を見ました。学習者の中には地震を体験したことがない人達もいて、大きな揺れが長く続く映像を、食い入るように真剣に見ていました。その後は、「地震になったら何をしますか?」というテーマで、地震が起きたときの行動についての話を聞きました。地震が起きたら、まずは自分の身を守ること、揺れがおさまったら避難の準備をすること、被害が拡大しないようにガスや電気のブレーカーを切るなど、その時々でどんな行動を取ったらよいかということを学びました。また、避難所で必要になる避難者名簿フォームに、自分の名前や住所を書く練習をしました。最後に、今日の学習の感想や、わかったこと、わからなかったことを話し合いました。

H29防災事前学習①.JPG H29防災事前学習②.JPG
日本語ボランティアによるキーワードの説明  地震映像を見つめる学習者たち

〈11月5日〉
 
二日目の行動体験日には、ボランティア・学習者合わせて約50人が参加しました。前回地震について学んだ知識を、この日は実際に体験してみる日です。国際プラザのフロアに4つのコーナーをつくって、グループに分かれて回りました。各グループには比較的日本語能力が高い日本語能力検定レベルN2・N3の学習者に入ってもらい、理解が難しい学習者のフォローをしました。これは災害時に要支援者とされる外国人でも、言語スキルを活かして助ける側に回ることもできるということを知ってもらうためです。

〔ブース1.避難所体験〕
 避難所受付と避難所スペースの体験を行いました。受付では、前回記入練習をした避難者名簿を出して、受付での会話練習をしました。自分の住所、名前、外国人であることを伝えることを練習しました。
 発災後に多くの人が避難所へ押し寄せた場合、個人スペースは限られプライバシーも守られない状況が発生します。混雑時に一人が使えるスペースは畳1畳分だけ、という場合もあります。このコーナーでは1m×2m角に仕切ったスペースに実際に寝てもらい、その狭さを体験しました。

H29防災・受付.JPG H29防災・避難所①.JPG
避難所受付の練習                    

〔ブース2.避難所の確認〕
 災害時、自分はどこの避難所に行ったらいいのか?刈谷市と近隣市の地図を使って、住んでいる地域の避難所の場所と名前を確認しました。

H29防災・避難場所①.JPG H29避難場所②.JPG
「自分の避難所がわかったら、一度足を運んでみるといいよ」とアドバイスするボランティア

〔ブース3.防災グッズ/ブレーカー展示〕
 非常持ち出し品の展示ブースでは、防災グッズリストの中から自分に必要な物を選び、全部でどれぐらいの重さになるか計算し、同じ重さのリュックを背負ってもらいました。あれもこれもと選んでいると、かなりの重量になってしまいます。自分にとっての優先順位を考えるきっかけになりました。また、ブレーカー展示コーナーでは、通電火災を防ぐために避難所に行く前にはメインスイッチを切っていくことが大切だと伝えました。

H29防災・持出品.JPG H29防災・ブレーカー.JPG
自分の選んだグッズは何キロ??       メインスイッチを「切」に

〔ブース4.トイレ展示〕
 災害時に最も困ることの一つがトイレの問題です。このブースでは、簡易トイレの数々を見てもらいました。ホームセンターなどに売っている市販品もありますが、段ボールや木の板、ゴミ箱やビニール袋など、身近にある物で作ることができます。便座部分の木ににハイソックスをかぶせて座り心地を良くするなどの工夫に、学習者たちは感心していました。

 皆がブースを回っている最中、フロアに緊急地震速報が鳴りました。皆、自分のいる場所でダンゴムシ(身を守る姿勢)になって、「そのとき自分がいる場所で、一番安全な場所はどこかを考えて身を守る」を実践しました。

H29防災・トイレ.JPG H29防災・シェイクアウト②.JPG
簡易トイレのいろいろ             姿勢を低く・頭を守り・じっとする

 すべての体験が終わった後は、非常食の野菜カレーを食べながら、ふりかえりをしました。学習者からは、「地震はとても恐ろしいけれど、知らないと何をしていいのかわからないから、参加してよかった」「今日知ったことを他の人にも教えてあげたいです」などの声が聞かれました。

H29防災・非常食.JPG

日本で暮らす以上、地震は誰もが遭う可能性があります。その時のために何を備えるのか、考えるきっかけになる防災講座でした。

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※行動体験型日本語学習...学習者が生活する上で必要なことをテーマにして、実際に行動体験をしてみる中で必要なことばや表現を学び、いざという時に使えるようになることをめざす日本語学習の方法。

【学習の流れ】
①事前学習(イメージをつかむ)
②体験・行動する。その中で必要なことばや表現を知る。
③ふりかえりをする。わかったこと、わからなかったこと、疑問に感じたことは何か話し合って、定着を図る。