【2023.01.14】KIFAボランティア研修会「私にもできる 多文化共生」

刈谷市国際交流協会では、毎年ボランティアのスキルアップを目的とした研修会を開催しています。今年のテーマは「身近なところから始める多文化共生」です。地域の外国人と日本人が互いに尊重し合いながら共生していくために私たちにできることについて考えました。

日時:2023年1月14日(土) 13:30~15:30
場所:国際プラザ
講師:新美 純子さん(公益社団法人トレイディングケア 代表理事、高浜市多文化共生コミュニティセンター センター長)

新美さんが活動している高浜市は外国人住民の比率が人口の8%を超え、外国人がいるのが当たり前のまちです。そんな高浜市で新美さんは地域の外国人と日本人がバディ(相棒・仲間)として交流するサポート事業等を実施し、地域の多文化共生の推進に貢献しています。

もし自分が言葉があまりわからない国に行ったとき、どんなふうに現地の人に接してほしいですか?
笑顔で声を掛けてもらったり、ちょっとした日本語で挨拶などしてもらえると嬉しくなるのではないでしょうか。
しかし日本人同士でも関わりが希薄になりつつある現代、日本で暮らす外国人はそのような対応をあまりしてもらえていません。「日本人には自分たちが見えていない、困っていても見て見ぬふりをされてしまう」と感じることが多いそうです。
でも日本人側が少し意識をすれば見える景色は変わってきます。
新美さんが行っている「バディ」は簡単に言うと「相手の立場になって自分のできることをする」ことです。そしてそれにまず必要なのは「相手を意識する」「興味を持つ」「あいさつをする」ことです。意外と簡単なところから始められそうですね。
次にできるのは相手の名前を覚えること。外国人に限らず、日本人同士でも名前を憶えてもらうと嬉しいですよね。
今回は、研修会に参加した全員の名前を覚えるために、新美さんがよく行っているゲームをしました。
まずは最初の人が「私は〇〇です」と言い、次の人は「私は◆◆です、私の隣の〇〇さんです」、さらに次の人が「私は△△です、私の隣の◆◆さんです、その隣の〇〇さんです」......とみんなの名前をつないでいきます。進むにつれて難しくなっていきますが、全員の名前を覚えることが出来ました。
次のワークでは「他己紹介」をしました。同じグループの人と話をして、その人をみんなに紹介します。
始めは静かに他己紹介を聞いていた皆さんでしたが、旅行が好きだと紹介があると「どこに行きたいですか?」と質問したり、もうすぐピアノの演奏会がある人には応援の言葉を掛けたりと、相手を知ろう、関わろうという気持ちが表れている有意義な時間でした。
こんなふうに相手の名前を覚え、相手のことを知ろうという姿勢が、多文化共生の大切な基盤です。

新美さんがバディシステムを始めた当初、日本人のバディさんがあれもしてあげたい、これを食べさせてあげたいと相手と深く関わろうとしすぎてしまった結果、外国人バディさんが疲れてしまう、ということがありました。そして外国人側が断ると「こんなにいろいろやってあげているのに!」と気分を害してしまう人がいたそうです。
「強制」は「共生」ではありません。頑張りすぎて自分や日本のルールを押し付けるのではなく、ゆるく、自分の好きな方法で長くつながっていることが大切だと新美さんは言います。
実際に現在の高浜市のバディさんは、例えば自分の通う卓球クラブに外国人住民と一緒に行くなど、特別なことではなく普段の日常の活動に外国人住民を誘うことで負担のないつながり方をしているそうです。

終了後のアンケートでは「日本人⇔外国人の双方向でお互いのこと・国を知り合うのが楽しいですね」「参加している方々がみなイキイキと話してくれる雰囲気がとてもいいと思いました」などの感想をいただきました。
今回の研修会を通して、みなさんが街で見かける外国人住民のことを気にかけてみたり、ちょっと話しかけてみようかなと思ったりするきっかけになればうれしいです。